ホーム > 輸送事例集

住友金属物流は、鉄鋼製品をはじめとした重量物輸送の豊富な経験から、岸壁クレーンや発電モジュールなどの数百トン~千トンを超える超重量物の輸送に早くから取り組んできました。
その中から、岸壁クレーンの一体物輸送で安全性、作業性、コストを改善させた独自開発のRORO装置「ボギーシューズシステム」について、ご紹介いたします。
近年では、品質や納期、コストといった観点から、据付現場で組み立てられるのではなく、工場で完成品として仕上げられた一体物として、据付現場まで海上輸送する方法が増えてきています。その中で一体物の岸壁クレーンを大型台船に積み卸す方法には、2つの基本的な工法があります。一つは、貨物を海上クレーンで吊って移動するLift-on/Lift-off(F/C工法)。そしてもうひとつが、貨物を吊上げることなく水平に移動し、台船に乗せるRoll-on/Roll-off(RORO工法)です。据付工事の諸条件(工事場所、工期、岸壁構造等)から工法が決定されていました。
F/C工法は作業時間が短いというメリットがありますが、岸壁クレーン本体の補強などの事前準備に加え、積み卸し場所によって海上クレーンの回航コストが積み卸し作業のコスト並みに必要になるケースがありました。また、天候や波、風等の影響も大きく受けることになります。一方のRORO工法では、岸壁クレーンを岸壁から台船に移動させる際、車輪の向きを90度回す作業が必要でした。
ここで住友金属物流が開発したのが、車輪の向きを回すことなく移動方向を変えられるシステム「ボギーシューズシステム」です。ボギーとは、岸壁クレーンの走行装置部を意味し、ここに靴(シューズ)を履かせるようにして移動することから、このシステムは命名されました。まずボギーシューズの傾斜レールを、既設の岸壁クレーンのレールに接続させます。通常の車輪でレールを移動した岸壁クレーンはボギーシューズの傾斜レールへ水平に移動します。傾斜レールの下には、コロユニットが設置されており、傾斜レールをのぼりきるとそのままコロユニットが装着されます。
コロユニットは台船へと垂直に伸びるレールとの交差地点に設置されており、岸壁から台船への移動は、このコロユニットが担い、台船へ搭載します。海上輸送後は、逆に台船からコロユニットで地上の台船レールを走り、地上レールとの交差地点からは岸壁クレーンの車輪で再びレールを走ることができます。車輪の向き変えのためのジャッキアップ・ダウン作業は不要。作業の安全性や余分な作業の発生がこれでなくなりました。
クレーン車輪に手を加えずに岸壁・台船間を移動できるボギーシューズシステムは、作業時間の短縮化、安全性の向上を可能にしました。機材はユニット化され、輸送、組み立て、取り扱いが容易で、F/C工法に比べて気象・海象条件に制約が少ないことも特徴です。安全性、作業性、経済性の面で優れていると注目を浴び、平成2年以来、多くの工事実績を有しています。